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「介護起業のコツ」第4回

~生涯忘れられない単月黒字達成時、一本の缶ビールの味~
 資金がなくても起業できますか?
起業相談などで「資金はないが起業できますか?」との問合せを受けることがありますが、「無理です」と即答することにしております。丸腰で戦地に赴くのと同じで、いくら完璧な作戦を練っても、訓練しても、人を集めても勝つ見込みはありません。それでは、「資金が潤沢になければ起業はできませんか?」と言われると、そうでもありません。もちろん最低限の資金は必要ですが、きちっとした資金繰り計画を立案し、それに則した融資計画を立て、実行していけば良いのです。

今回は、起業するにあたって一番重要な『キャッシュ』、すなわち資金の考え方ついてお話したいと思います。

 重要なのはキャッシュフロー
まず、一般的なサラリーマンであれば損益計算書(PL)にて、売上-経費=利益さえ管理していれば問題ないと思いますが、経営的に重要なのはキャッシュフロー(CF)です。収入-支出=残金を管理しないとスタッフに給与が支払えなくなるなど事業運営の継続に支障をきたすことになります。会社というものは、数字のうえで赤字でも倒産するとは限りませんが、黒字でもキャッシュが枯渇すればその瞬間につぶれるのです。銀行も「お金がないから貸して欲しい」と言うだけでは応じてくれません。周到な事業計画を示さなければ融資を受けることはできないのです。

損益計算書とキャッシュフローが、どれだけ違うかビジュアル的に見てみましょう。資料1は損益計算書です。

資料1

売り上げは順調に推移し、7か月目に経費を売り上げが抜き利益を計上しております。
しかし、これで順風満帆、経営上問題ないと思ったら大間違いです。

次に資料2のキャッシュフローを見てみましょう。

資料2

介護報酬のサイト(売り上げが現金化されるまでの期間)は約90日です。例えば1月1日に発生した売上が現金化されるのは3月末です。経費は売上発生月に支出されることが多く、収入である介護報酬支給は2か月後、ということは社長が2か月分の経費を前払いしていることになります。資料1と同じ数値で、経費はそのまま当月に、一方で売上は2か月ずらし支出を累計していくと、資料2のようなキャッシュフローの曲線を描くことができます。損益計算書だけ見ると順調な経営状況に見えますが、キャッシュフローをみると1年半後くらいの時期に『デットバレー』がやってきます。売上が好調なほどデットバレーは深いことにもなります。

デッドバレーを乗り切るだけの資金はないと逃げ腰になる必要はありません。社会保険事業なので売掛金回収率はほぼ100%となるため、損益計算書で黒字さえ計上していれば、追加融資を受けることが可能になるのです。

 起業に必要となる資金
一般的には、自己資金300万円、創業融資700万円、追加融資500万円くらいの起業家が多いようです。
この場合、自己資金と創業融資の1,000万円が枯渇する前に、何が何でも単月黒字を計上し追加融資を受ける必要があるのです。

訪問介護起業のビジネスモデルとしての目標について私は、1年以内に単月黒字達成、3年以内に累積損失回収という指針を提案しております。第1回で初期費用は100万円以内と記載しました。イニシャルコストはほとんどかからないのですが、ランニングコストは支払サイトの関係で一定のキャッシュが必要だということがわかると思います。

融資を受けることに抵抗を感じる人がいますが、きちっとした資金繰り計画を立てることができれば良いのです。売掛金の範囲内の融資を受けることにリスクを感じる必要はないのです。なぜかというと、サイトは長いですが介護報酬はほぼ確実に現金化されるからです。

第2回で「利益を出せた時の醍醐味は、予想以上です」と記載しましたが、追加融資を受けなければならない起業家にとっては、単月黒字達成とキャッシュ枯渇との競争であり、天国と地獄ほどの差があるのです。

単月黒字を達成した時の、一本の缶ビールの味は言うまでもありません。


この記事を書いた人

株式会社 さくらケア 代表取締役 荒井 信雄

現役の訪問介護経営者の見地で起業支援をおこなっているため、抽象的な話や現実性のないガイドは一切おこないません。地に足のついた、明日から役立つ情報提案をさせていただきます。

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